タイの森林地帯で発見された新種のヒキガエルは、卵を外部に産み落とすのではなく、メスの体内で発生を進め、オタマジャクシ段階を経ない子を直接出産するという、極めて珍しい繁殖様式を持っていた。
カエルやヒキガエルは「水辺に卵を産み、オタマジャクシとして成長する」というライフサイクルがほぼ自明視されてきたため、この発見は両生類の生殖に関する基本的な前提を揺さぶるものになっている。
研究者たちは、この胎生に近い繁殖戦略が、乾季の長さや水場の不安定さ、卵やオタマジャクシが捕食されやすい環境条件への適応として進化した可能性を指摘している。
体内で子を育てることは、親にとってはエネルギー負荷が大きい一方、子の生存率を高められるというトレードオフを伴う選択であり、生殖様式とは「環境との交渉の結果」であることが見えてくる。
こういうニュースを見ると、科学的な知識というのは常に暫定的な地図にすぎないんだなと思う。